マングローブと聞けば どのような姿を想像されるでしょうか?
熱帯地域で淡水混じりの海岸域に生息し、湿地帯にニョキニョキと根を出した画像のような植物が脳裏に浮かび、こういった形状の植物名が「マングローブ」と思われる方が多いのではないでしょうか。
実は、、、
マングローブとは
マングローブという植物名ではなく、熱帯の海岸や河口部などの汽水域と呼ばれる淡水と海水の混ざりあうところ、または海水域で、干満により潮位に影響を受けるような場所に生育している植物の総称です。
植物自体の名前ではなく、このような場所に生息している植物をまとめて「マングローブ」といい、世界中ではヤシやシダも含め110種以上の植物が「マングローブ」と呼ばれています。研究者によって「マングローブ」と呼ぶ植物の数に違いがあるそうなので分類分けは微妙ですね。
イメージ的には、海中に生息している魚なのでそれらをまとめて「海水魚」と呼ぶ感じでしょうか・・・
マーシャル諸島のマングローブとは
マーシャル諸島は、山も川もない「環礁」という地形で形成されている為、淡水がほとんどありません。
環礁についてはこちらをご覧ください。
特異な環境下のマーシャル諸島ですが、一目でマングローブと認識出来る「ヒルギ科」はマーシャル諸島にも生息しています。
ただ、数種あるヒルギ類はマーシャル諸島内では珍しい部類に入ります。多分、長期のマジュロ在住者でも見たことがある方はいないと思います。
一般的によく見る光景としては、島沿いの端にぬかるんだ湿地帯と河口がありその河口沿いを覆い被さるように生える姿や、遠浅で穏やかな場所が一般的?ですが、マーシャル諸島の環礁には入り組んだような地形がなく、陸地をはさみ外洋か内海のみ。外洋ほどではなくとも内海に関してもすぐに深くなってしまいます。そして両側共に純塩水です。
マーシャル諸島ではこれらヒルギ科に属するマングローブはとても稀少なのです。
海水でも生息するマングローブ
沿岸域には塩水しかないマーシャル諸島で、なぜマングローブが育つのでしょうか。
それはマングローブが海水から塩分をろ過し取り除き、真水のみを成長に使う能力があり、特定の葉に塩分を蓄積させ黄色く枯れたら(塩分が溜まったら)落葉させる仕組みがあるからです。
サンゴでも干潮時に干上がってしまっても全く問題のないサンゴがその場所を住処としていますが、それと同様に、その場所を得意(好む)とする植物もあるということですね。
マングローブの役割り
- 海岸侵食防止
- 独特の生態系が確立されている
- 炭素を蓄え大気中の二酸化炭素濃度を減少させる
- 種類によって木材や炭などの燃料に
地域によってはこの他にもたくさんの役割りがあるようです。
まとめ
昨今マジュロでも波による侵食が大きな問題となり各エリアでもコンクリートによるシーウォールで陸地への浸水侵食を食い止めようとしています。
マーシャル諸島ではとても稀少で大切な役割りを持つマングローブですが、どの環礁のどの島を見ても絶対的に弊害となるのが、標高の低さ。
人々が生活する陸地面が大潮の満潮時の潮位とそこまで変わらない。その場所には時折大きな波がバシャバシャと打ち付け、、、 その状態でマングローブなんて言っても全く機能しないのが現状なのです。
ですが、マーシャル諸島でも年間穏やかな場所ではこのような自然の植物で保護していく対策行動も遅くはないでしょう。
1mを超える成長期間は5~7年ほどとされていますが、マングローブが少しでも小さな島国に生息し続け、また増えていけば・・と密かに願うのです。
コメント
マングローブの生態系大変よく理解できました。
ありがとうございます。
20年ほど前にオーストラリアのケアンズで
やはりマンフローブの密林の中に入ったことが
ありましたが、その密林の横では
ボランティアと称する人が
マングローブの移植をしておられました。
その時は、なぜ、こんなにマングローブの林があるのに
まだ植林をするのか不思議でしたが、本日
謎が解けました。ありがとうございました。