ここ数年の間で特に成長が著しく早く感じる「センナリヅタ」をご紹介します。
マジュロ環礁の珊瑚を覆う【センナリヅタ】
和名:センナリヅタ
学名:Caulerpa racemosa var. macrophysa.
上の写真は、ハナガサミドリイシ(Acropora nasuta )を覆い被さろうとしている、センナリヅタとサボテングサ。健康なハナガサミドリイシも対抗できないのでしょうか?
さて、このセンナリヅタヅタですが、自分がマジュロへ来た当時からサンゴとサンゴの間で生息していたのは見ていました。外洋ではなく、特にラグーン内のあまり潮が激しく入れ替わることのない静かなところが多い。
見た目は「海ブドウ」のようですが、沖縄のクビレヅタやフサイワヅタとは異なりもう少ししっかりとした葉(丸い実)で苦みがあり個人的は食用には不向きかと。
※マジュロのフサイワヅタ情報はこちら↓
さてこのセンナリヅタヅタですが特にここ数年で一気に増え出しています。
以前はヒッソリと・・・というイメージでしたが、最近では堂々と!?サンゴ一面を覆ってしまう状態に。
もちろん、サンゴは光合成を必要とするわけですがこれでは全くできるわけがありません。
ヒッソリと生息していれば色や形にしてもとても可愛らしく良いんですけどね・・・
これらのセンナリヅタはフカフカの柔らかいジュウタンのようにサンゴに覆い被さっていますが、簡単に除去することもできます。その取り除いたところは想像通りの真っ白なサンゴ。
今回特に感じたのはサンゴの中でも「パラオハマサンゴ/Porites rus」を得意としているようです。
先程ご紹介した写真のハナガサミドリイシサンゴはパラオハマサンゴの上で成長をしており、その周辺をセンナリヅタが覆い被さっている状態。どちらにしてもパラオハマサンゴ絡みなんですね。。
こちらの写真は、丸く成長した大きなパラオハマサンゴの群体をほとんど一面覆い被さっている状態。
これでは一部の突き出たサンゴの先端しか光合成をすることができません。
しかし、、、 大胆ですね。。
黄緑色のセンナリヅタはこんな感じでパラオハマサンゴの周囲を網羅するように広げています。
特に島に近く棚よりも少し低いいつも安定し水温も高めの場所を好んでいる様子。(今回ご紹介している場所で言えば)
※環礁内の真ん中にあるサンゴの山でもセンナリヅタは増え始めているので閉鎖的な場所で広がるとは言い切れません。
これらを観察していても好んで食べているような魚もいない・・・まさに増える一方という感じですね。
このパラオハマサンゴは環礁の地形を形成するのにとても大きな役割をもっています。
例えば、環礁の外洋側、内海ラグーン側共にこのパラオハマサンゴがありその周辺または死サンゴの上にテーブルやエダ状のサンゴを着床します。要はあらゆるサンゴの基礎を作ってくれているといっても過言ではないでしょう。
そして外洋のテーブルやエダ状のサンゴが一面白化してしまってもこのパラオハマサンゴはビクともせずに健康なまま成長を続けています。これは外洋、内海問わず同じ。
マジュロの外洋でダイビングをされたことがあれば何となく想像がつくかもわかりませんが、ドロップオフの斜面は90%がこのパラオハマサンゴでしょう。横へ横へ上へ上へ成長をし、死んでは石灰質の骨格を残し地形へと変化させまたその上に新たに・・という具合いで築いていくのです。
そんなたくましくマーシャル諸島の環礁にも重要なパラオハマサンゴですが、個人的にはこれらを人為的に除去するような行動はしておりません。これも自然のことですからね・・・
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