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強風がもたらすマジュロ環礁の被害【マーシャル諸島を襲う波】

強風がもたらすマジュロ環礁の被害【マーシャル諸島を襲う波】

先週末から25kts以上、たまに更に強まる風が吹きさらしていたマジュロ環礁です。沖ではなく目の前すぐ(ラグーン内)の海が白波をつくり出すほどの風が数日間続くことは珍しい。

風は波をつくりだしうねりへと、風が強ければ強いほど波は大きくうねりは強くなります。

これが大潮周りの満潮時になると・・

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マーシャル諸島の民家を襲う大波

強風がもたらすマジュロ環礁の現状【マーシャル諸島を襲う高波】

ご存じのようにマーシャル諸島という国には「山がない」。

大潮の満潮ともなれば陸地とさほど変わらないのでは?と思うほど標高自体が全体的に低いのですが、それでも部分的に風を遮ることが出来るのは建物や大きな木々しかありません。

それでもこちらの画像のように大波は容赦なく人の住むすぐそこまで襲い掛かります。

このようにマジュロ環礁東側の外洋に面する民家などには、数秒おきに大きな波が激しく打ち付けますが、家屋によってはかなりのダメージを受けることになります。

大潮周期の大波時には東側に限ったことではなく、マジュロ橋周辺(南東)でも同様、他の南・西側にいたっても影響はかなり出てきます。

このような地形で強風が吹いてもある程度穏やかなところが存在します。

それは島の完全な風下近辺のみ。ですが、少し離れれば風があたり出し波も発生してきます。

山がある国では、山により完全にブロックされるため風下はこの環礁よりも穏やかになります。もちろん周囲の海の様子にはそれなりに影響が見られるかと思いますが、それはこの環礁の外洋も同じです。

高潮、高波、大波などそれぞれに定義がありますが、いずれにせよマーシャル諸島にとっては脅威をもたらす「波」なのです。
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マジュロ環礁周辺に押し寄せる大量のゴミ

強風がもたらすマジュロ環礁の現状【マーシャル諸島を襲う波】

マジュロ環礁ではあらゆる沿岸域でシーウォール(波除けの高さのあるコンクリートの壁)を順に整備されていますが、まだまだ手を付けられていない場所も多い。

まだ整備されていないところには大きな岩やコンクリートの塊などを積み波除代わりにしていますが、それらの隙間には打ち付けられた大量のゴミがそのまま残ることになります。

そしてこれくらいの波除では、波の浸入を防ぐことができません。ゴミはまた流れ出し いつになっても無くならず漂い続けます。

これらは、潮の流れや風の方向によりゴミが溜まりやすい場所があるので、外洋、ラグーン内共にその時のコンディションで異なります。

波に破壊されるマジュロ環礁のお墓

強風がもたらすマジュロ環礁の現状【マーシャル諸島を襲う高波】

画像は穏やかな干潮時です。

波は民家を直撃すると共に、コンクリートで作られたお墓までもこのように破壊してしまいます。その上そのまま流されてしまったという事も聞いています。

いかに波の力が強いかということ。

今ではある程度整備されていますが、どちらにしても年間を通し風(波)が当たりやすい場所というのは、こういった島では何かと不利になってしまいます。

マジュロ環礁内のラグーン内を襲う強烈な風と波

波による被害は外洋に限ったことではありません。

マーシャル諸島の貿易風は通年北東から吹きますが、その風が年に数回逆からとなる南西寄りの風になることがあります。

微風なら問題ないのですが、南西寄りの強風になると遮るものが何もないラグーン内は大嵐のような姿に変わります。

住まいとして停泊しているセーリングヨットも流され浅瀬に乗り上げ動けない状態に。こういったヨットは直立状態(船上にあるセイルとのバランスも含め)を保つために特殊な大きく長いキールが船底にあるのですが、そのキールがあるため簡単には状態を変えることができません。

普段何隻も係留されている大型船も風と波によりそのまま流されてしまい他の民家へと打ち寄せます。

マジュロ環礁ラグーン内のサンゴを襲う強烈なうねり

今迄で一番強烈な南西寄りの風が押し寄せた3日後の様子です。

数日前とはうってかわって風はほぼ無風。ですがラグーン内はまだ大きなうねりが全体にあり普段15分ほどでいけるところまで約1時間で到着。

水中の様子は、先日までとは一変し大きなパラオハマサンゴが砕け落ちている状態を何度も見掛けました。

このようになればもちろん元に戻ることはできませんが、この状態のまま新しいプラヌラが着床し成長をしていくのみ。普段光を浴びない骨格部分が白くとても痛々しい状態です。

周囲はうねりによる砂の巻き上げで視界は悪く、うねりにより体をもっていかれる時も。このようになればダイビングどころではありません。

水中のうねりは一見頑丈そうなサンゴをこのように破壊してしまいます。

マーシャル諸島沿岸域での木々の役割

直接波が打ち寄せる沿岸域ではもちろん重要な大型でしっかりと根を張る木々達。ヤシの木だけではなく様々な大型種が自生していますが、打ち寄せる波には勝つ事が出来ません。それでも無いよりはマシなのです。

強風・大波・強いうねりが押し寄せれば、マングローブなんて言ってられません、正直いって無力です。風向き関係なく入り組んだ地形の常に穏やかな場所でしかマングローブは力を発揮することができないと言えるでしょう。

高さのあるコンクリート製の護岸整備をされていない場所では、このように侵食が進んでいます。こういった環境にも強く根付く木々にも限界があるようです。このような状態は今に始まったわけではありませんが、拍車が掛かっていることには変わりありません。

それでも重要な自然の防波堤なのです。

まとめ

強風がもたらすマジュロ環礁の現状【マーシャル諸島を襲う波】

温暖化による海面上昇・・・という水位上昇に関するニュースや記事がよくありますが、果たしてそれだけでしょうか。

火山島の周囲に成長したサンゴ(石灰岩)により形成された後付けの大陸。その環礁や大陸の沈下もあるのではないかと思っています、これは単なる推測なのですが。

上昇・沈下どちらにしても、陸地と水面の差がさほどないことには変わりないので、大波・強烈なうねりなどはマーシャル諸島にとって脅威なのです。

マジュロ環礁全周囲が、外洋・ラグーン内共にコンクリートで囲われる日も遠くないでしょう。

こうしたマーシャル諸島での天災を1つ(風)みれば、「温暖化」、「海面上昇」、「気候変動」、「ゴミ問題」などなどマーシャル諸島が本来抱えている多くの問題全てに直面するのです。

ですが、マジュロ環礁に住む者として こういった環境とも上手く付き合っていくしかありません。

そして以前から思っていたある不思議なこと。新月や満月日の大潮ど真ん中というと潮位はもちろんのこと、潮の流れや様々なところが激変するという固定観念?があるかと思いますが・・ というお話はまた今度お伝えします。

コメント

  1. null より:

    遅くなり危険度増す台風 波で環礁の水が塩水化、島の水源消失の恐れも【他人事ではない、気候変動の脅威】
    https://news.yahoo.co.jp/articles/305ea77f2d986c22d34d137e02fafbf99383eea2?page=3
    気候変動に対して世界がどのように取り組んでいくかによって多少ばらつきがあるものの、2056年から2083年までの間にマーシャル諸島で40センチの海面上昇が起こる確率は67%であるという。
    「二酸化炭素の排出について厳格な規制をしても、マーシャル諸島の淡水は今世紀中に塩水化により飲めなくなるでしょう」

    どうやら単に不動産に対する被害だけじゃ済まなさそうですね

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