※トップ画像は先週土曜日に釣り上げたシガテラ毒魚の代表格「バラフエダイ」です。この日の釣果は、他にアカカマス、マダラタルミ、ヒメフエダイ、ヨスジフエダイ、バラハタ、シロブチハタなど大小計51匹となりました。さて、
魚の毒といっても様々です。中には、肝などの内臓系、棘からの毒、ビタミンA過剰含有量、寄生虫のアニサキス、などなど、
今回はその中でも一度は聞いたことがあるであろう「シガテラ」についてです。
シガテラとは
シガテラ毒
日本からみて南方の海域で起こる魚類の食中毒で、熱帯や亜熱帯海域の主にサンゴ礁の周囲に生息する魚類によって発生し、シガテラ中毒を引き起こす毒素は「シガトキシン」と「マイトトキシン」です。
これらの毒素は、海藻や岩礁に付着する『Gambierdiscus toxicus / 渦鞭毛藻:うずべんもうそう』に起因するもので、海藻などを藻食性の生物(魚類・ウニ・ カニなど)が食べ、さらに肉食性の魚類が藻食性生物を捕食するという食物連鎖によって更に蓄積されます。そして多量に蓄積した魚をヒトが食べて食中毒となります。
※特定の魚が初めから保有している毒ではありません。
- シガトキシン:水に溶けにくい脂溶性で、とくに大型の肉食魚から検出されることが多い。
- マイトトキシン:水に溶けやすい水溶性で、藻食性の魚類にみられます。
シガテラ毒素摂取後の症状
発病時間は比較的早く、食べた日か翌日に発症し、ときに2日以上のことも。
- 消化器系:下痢、嘔吐、吐き気、腹痛など
- 神経系:※ドライセンセーション、関節痛、筋肉痛、四肢の痛みなど
- 循環器系:血圧低下、徐脈、不整脈など
死亡率は低く日本国内で死亡者はいませんが回復は一般的に遅く完全回復まで数ヶ月ほどかかることもあるそうです。
現在シガテラの効果的な治療法は確立されていないので、まだまだ未知と言えるでしょう。
シガテラかどうかの判断
シガテラ毒のシガトキシンは熱に対して安定しているため、調理(加熱処理)では毒素を熱分解できません。またこれらの毒素は魚の味に影響を与えず煮汁にも溶け出します。
刺身、魚汁、煮つけ、てんぷら、フライなど 調理方法に関係なくシガテラ毒がそのまま含まれるので、そういったことからもシガテラ中毒を防ぐことはできないと言えます。
シガテラの含有に関して見た目で判断が出来ないため、地元民の意見や事例をもとに判断するしかなさそうです。
シガテラ毒魚の代表例
- バラハタ
- バラフエダイ
- イッテンフエダイ
- ウツボ
- カマス
- ギンガメアジ
- ヒラマサ
- ブリ
- イシガキダイ など
この他にも、ヒラマサ、オニカマス、スジアラ、コクハンアラ、オオアオノメアラ、マダラハタ、アオノメハタ、メアジ、ヒレナガカンパチ、アオチビキ、カスミアジ、キツネフエフキなどもシガテラ毒魚とされていますが、このように挙げていくとキリがないほど「シガテラ毒魚」として扱われている魚はこの他にもたくさんおり、400種以上の魚にシガテラ毒保有例があるそう。
中でも「バラハタ」、「バラフエダイ」、「カマス類」はシガテラ毒魚として有名ですね。ただ、バラフエダイは練り製品の原料としても使われているようなので更に困惑してしまうのです。
「スジアラ/Plectropomus leopardus」といえば、沖縄では最高級魚とされていますが、「シガテラ毒魚/食用」なのです。更に困惑してしまいますね。
そしてこれらのリストを見る限り先日の釣果ではほとんどが食べることが出来ないことになってしまいますね・・
これらのシガテラ毒魚と言われている魚達は、いかなる個体でも、どこの海域でも、これらの種は必ずシガテラ毒を持っているという訳ではない ということを忘れてはいけません。
マーシャル諸島のシガテラ毒魚
マジュロ環礁の魚達
まず、我々が生活しているマーシャル諸島の首都・マジュロ環礁でお伝えすると、
前述したシガテラ毒魚の代表例内で、マジュロ環礁で捕られる魚はほぼ安全に食べることができます。
ここマジュロでも、トップ画像の「バラフエダイ」や「バラクーダ類・オニカマスなど」はシガテラ毒魚として認識はされています。魚に詳しい方達だけかもしれませんが(マジュロでのシガテラに関してではなく一般的な知識として)。
ですが、何年も何度も食べてハッキリ言えるのは、「とても美味しく、何も発症していない」ということ。正直、我々身近な知人の中では、バラフエダイが釣れれば「これは刺身だーッ!」と喜ぶほどなのです。
日本では食べることが出来ない魚でもマジュロではほとんどを食べることができる と言えますね。ただし、マジュロ内でも生息(捕獲)場所により敬遠されている魚種もあります。
マジュロへ来られる方、マジュロ在住の方々、安心して魚を食べましょう!
他の環礁の魚事情
首都マジュロから南へ約100キロに位置するミリ環礁では、「ヒメフエダイ/Lutjanus gibbus」は、環礁内の内海ではシガテラがあり食べないが、外洋の個体はシガテラがなく食べることができるそうです。
その他の環礁でも以前シガテラによるであろう被害(死亡例)もあったようです。
このように、同じマーシャル諸島内でもシガテラに関しては様々で、一番賢明なのはその地に住む方に伺うことでしょう。自分もマーシャルへ来た頃は良く聞いたもんです。お隣のアルノ環礁へ行って釣れればその場で無線で聞いたり。
それもこれもこの地の先人たちの事例によって食用としての可否が分かるわけですから有難いことなのです。
それでも、我が家では毒性の懸念(魚種と捕獲場所)、味的な理由で食べない魚もそれなりにあります。それらが釣れた場合にはリリースしていますが、生きた元気な状態で海に返したいので、即判断が必要です(なんでもかんでも捕獲しないようそれなりに知識があると役立ちます)。
まとめ
そもそも、魚がシガトキシン自体を捕食するしない以前に、その地域にシガトキシンが存在しているかどうか、同じ地域でも環境が異なる、その地域での毒性の強弱、毒性の変化、季節、シガトキシンを摂取した魚のサイズ等あらゆる要因にもにも大きく左右されるでしょう。
シガテラ毒魚と見なされている魚の中では大きく育ったものは食べないという暗黙のルールもあるようです。大きく育つ回遊性または根魚に関しては肉食が多く、大きなそれらの個体がいきなり岩やサンゴに付着した小さな藻をついばむなんてことは考えられません。
これに関してはまさに食物連鎖が作用していて、シガテラ毒を保有している魚を捕食により徐々に大きくなっていくというわけですね。この作用で段々と毒性も大きく(強く)なっていくと考えられます。
野菜、豚、牛、鶏、魚など どれも食べる方や提供する側の判断が大切です。販売されている側の批判ばかりせず、まずは賢い消費者でありたいですね。
シガテラは同じ魚種でもその地域により異なることを知り、その地での魚を味わいたいものです。
ということで、画像のバラフエダイも美味しく刺身とアラ煮で頂きました。
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