スキューバダイビングやシュノーケリングではまず見ることがないこのような姿ですが、釣りの場合には結構な確率でこのように口から風船のような何かを出している姿を見掛けます。
これは一体なに??
釣り好きの方の口からも これを「浮き袋が・・・」なんてセリフを聞くことがありますが実は、、、
魚の口から出た丸い内蔵の正体はこれ!
実際に口から出た魚を順にみて解明していきましょう。モデルは「ヒメフエダイ」ですが、どの魚も同様です。
まずはこの飛び出した内容物を潰さない(形状を保ったまま)ように注意しながら腹部を開いていきます。
開いた状態のまま、この丸い飛び出た部分の先から指を突っ込んでみます。
そうするとニュル~っと腹部方向へいき通常の形状(位置)へと戻っていきます。そのままいけるところまで突っ込んでいき、指を抜くと、
普通に内蔵の一部ということがわかりますね。
この正体は「胃」なのです。
胃袋が口から出る理由
急激な水圧の低下(深いところから浅いところへの移動)によって浮き袋内の気体が一気に膨張し、最終的には浮き袋が破裂(破損)して腹腔内に膨張した気体が充満することで胃を内部から反転させた状態で口腔方向へ押し出したものなのです。
このように口から膨らんだものがある場合に、内臓を処理する際に腹部を開いても、胃袋が反転した状態だったため、胃の内容物はなく空っぽです(内容物を外へと押し出してしまっている)。
胃とエラの位置
魚の口を開けると、まず見えるのが「エラ」で、その左右のエラから直接「胃」と繋がっています。魚が捕食するとまず最初にそのまま胃袋に治まるということですね。
ということは、他の内蔵の部位が口から出ようがないのです(胃袋を突き破らなければ出ることが出来ない)。
こちらのシロブチハタでもみてみます。口から出た状態でエラ部分をキレイに外してみると、そのまま反転した胃袋が残ります。
その先から指で押してみると、
元の状態(腹部側)へと戻ることが分かります。
ご覧のように、口を開けて見えているエラの周囲からは胃へのみへと繋がっています。
では、一般的に皆さんが思う「浮き袋」を見ていきましょう。
浮き袋 (鰾 / ひょう) とは
黒矢印の部分が浮き袋です。
「浮き袋」内の気体とは、 酸素・二酸化炭素・窒素などの混合ガスで、魚が浮力をコントロールする為の気体の詰まった袋状の器官で、血液中の気体を出し入れして浮力調節します。ほとんどの魚がこのような機能をもっています。
※全ての魚がそうではなく、サメやエイなど浮き袋自体がない魚もいます。
その他の役割として、魚が音を発する場合の多くは、浮き袋の振動によるものとも言われています。浮き袋の詳しい役割については割愛します。
※こちらはカスミアジです(右の黄色いものは卵)。
画像左:中央の白いところが浮き袋。
画像右:それを破ってみたところ。
画像右を見れば分かるように、「袋」というように浮かんだ状態であるわけではなく、背骨に密着した状態にあるので、口から出るようなことはないのです。
まとめ
今回はある意味謎と思われていたこれは何?を解明してみました。
釣りに行かれその場で実際に自分で魚の内臓を処理したりする方ならご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、これに関しよく聞くのが、「浮き袋」だったためこの記事を書いてみました。
コメント
魚の腹を開くときれいな緑色の細長い内臓がありますが、あれは何ですか?時間が経つと色が濁ってしまうやつです。上の図でいうと、生殖腺ですかね?
たんのうかな・・ あれは潰さないように処理してくださいね。