世界各国でサンゴの白化の報告を伺いますが、ここマーシャル諸島特にマジュロではまさに今!といったところ。
そんな最近のサンゴの様子をお伝えいたします。(自分への記録用としても。。)
マーシャル諸島サンゴの白化
毎回その年の白化するタイミングは「秋」で10月~11月に掛けて始まっています。
大規模と思える程、例えば船上から見て一面が真っ白に見える程の状態と広エリアでの白化現象で確認出来たのは、2014年、2019年、そして今年の2024年。時期は毎回秋でちょうど5年周期。
夏場は穏やかな日が続き、水温が上がり水中が濁り始めます。日本も台風によって水中をかき回し一掃できる?という理屈のように全く動かないのはそれなりに問題。通常の潮の満ち引きだけでは藻すら動かないでしょうから。。
さて、この5年周期ですが、その5年間の間に以前白化しそのまま死滅したサンゴが復活したかというとそういうわけではありません。もちろん、死滅したガレの上に着床し育ち始めているサンゴもありますが、それは同じサンゴではなく異なる種。
例えば、大きなハナバチミドリイシ(テーブルサンゴ)がガレ場になりその上にハナガサミドリイシなどが着床し所々小さく育つというような具合。良く “復活した?” と外国人からも聞かれることがありますが、これは復活とは言わないでしょう。。
早いサンゴは1年に10cmは成長すると言われていますが、ではなぜその場所では同サンゴが復活しないのか。白化が起きた水中環境はまだまだ受け入れるだけのサンゴにとって良い環境が戻っていないのでしょうね、そしてまた新たに白化が始まり・・・周囲はガレ場になり着床した新たなサンゴの成長よりも悪化が上回るのみ。
白化する原因は様々で何度かこのブログ等でも取り上げていますが、昨今は概ね海水温の上昇だと言われています。確かに今年は夏くらいから水温30度をキープし29度には下がらない、そして水面のみならずある程度の深度下も同様です。(ウェットレンタルがないので楽ちんですが・・・(笑))
以前の白化2019年時は夏や秋でも29度、たまに30度と言った具合、今年は少々違うようです。
2019年のサンゴの白化はこちら
https://marshallislands.jp/2019/11/18/bleaching-coral/
2024年秋のサンゴの白化
10月2週目から1週間に渡り、マジュロ全体をチェックしましたがその結果、
- ローラのラグーン内:サンゴの種類問わず浅い場所は白化
- ローラの外洋側:棚上のハナバチミドリイシの白化
- ロンロン島外洋:ローラ同様
- ウォジャ外洋:ローラ同様
- ウォジャラグーン内:ハナガサミドリイシの白化
- アジャルタケ外洋:ローラ同様
- アジャルタケラグーン内:ウォジャ同様
- リタ外洋側:チャネル付近同様(悪いまま)
- マジュロラグーン内中心付近:あまり変化なし
- ラグーン内島近くのミズタマサンゴ:嚢胞はそのままで色素が薄い
ざっとお伝えするならこんな感じですが、前回2019年と同じような種類のサンゴが白化した印象です。
2024年秋のサンゴの白化と以前の違い
さて少々残念な今年2024年の白化状況をお伝えします。
マジュロ環礁の外洋やチャネル付近を潜ったことのあるダイバーも多いかと思いますが、以前健康なサンゴの場合の白化はまず、ハナバチミドリイシ(Acropora cytherea)、トゲスギミドリイシ(Acropora intermedia:旧nobilis)、コイボミドリイシ(Acropora austera)、トゲマツミドリイシ(Acropora listeri:旧danai)、ヤスリミドリイシ(Acropora robusta)などこのあたりのサンゴが一気に変化しました。
ですが、面白い?ことに、その白化しているサンゴの真隣に生息しているパラオハマサンゴ(Porites rus)だけは見た目健全そのもの!
※ 画像↑内のピンク枠内がパラオハマサンゴ。それ以外は白化とガレ場化しています。2015年1月撮影
このパラオハマサンゴはマジュロの環礁の地形を形どってるといっても過言ではない?と思わせるような巨大な群体を形成し、その色や形状は様々。
マジュロ一周またラグーン内のテーブルサンゴやエダサンゴと言われるようなサンゴ達が白化しガレ場に変わる中、パラオハマサンゴだけは変わらずに成長し続けてくれていた頼もしいサンゴです。
そんなパラオハマサンゴですが、今年2024年11月中旬に初めて白化を確認しました。※以前も多少の白化はありましたが今年が最大。
マーシャル諸島2024年秋のサンゴの白化【パラオハマサンゴ/Porites rus】
印象に残る白化の状況と言えば、2019年に外洋のサンゴが一気に白化が進む中、ラグーン内のサンゴにはほとんどと言っていい程影響はない状況、これはむしろ逆なのでは?思う程変な状況でしたが、今年はとうとうラグーン内のパラオハマサンゴにも白化現象が起き始めました。
場所はラグーン内のとあるサンゴの山。
この”山”を形成しているのがパラオハマサンゴというくらいの規模。水面から約8m程してようやくサンゴが見え始めるのですが、周囲はユビエダハマサンゴとパラオハマサンゴ、そこから約40mくらいまでパラオハマサンゴが連なります。
健康なサンゴから始まり(約8mくらい)深度を落としていくと13m付近からパラオハマサンゴの所々に白化が確認できます、そこから15m付近にいくとさらに白化が目立ち、20, 30, 40m付近は更に広いエリアでの白化を確認することができました。
約7m間のサンゴには影響なく、そこから深場に掛けて徐々に白化の状態が激化していくという具合です。
これは自分も踏まえおそらく皆さんが思うことと逆ではないでしょうか?水面付近の方が水温が高く影響を受けやすいので浅い方が白化しやすいという仮説。
確かに今迄白化していたサンゴのほとんどが浅い場所で深場だけが白化というのは初めてです。
この現象は今後専門家に聞いてみたいと思いますが、更にマジュロ内のサンゴの白化が進むと思うと恐ろしいですね・・・と思ってるのはここマジュロ内でも自分だけだと思いますが・・・
食用の魚も減っていくかもですね。
考えられるのは、普段潮汐の干満だけではそこまで流れも発生する場所ではなく、穏やかな時期しかも深い場所となると水面の影響を全く受けずたまに吹く風による波の影響にさえ動じず高水温による低水質な海水が留まっていたことが考えられます。浅い程水面の影響は受けますからね。とはいえ、8mくらいからのサンゴなので水面ほどは影響せずに波でも解消されていた?ですが、深場は何も変化せずということも考えられなくはないですね。単なる持論ですが・・
さて、今回のパラオハマサンゴの白化状態の写真を撮れていないので、撮影出来たらこのブログ内に加えたいと思います。
5年後の水中はどんなふうに変わってしまうのか、、、
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