ヤマハの船外機を使用されている方は自動的に?ワイズギアのシーパートナーやマロールを艤装されてる方(代理店やディーラー)が多い。ですが、個人的にはこのユニカス派です!
UNIKAS(ユニカス) 36VX
作りもシッカリしているし、見た目も良いし、ヘルムポンプの裏側で左右のオイルの流れをコントロールできる(片方づつ開通できる多機能ストップ弁)ので修理後の調整が簡単です。
さて、このユニカス製品はまだまだ取り扱われていない世界中のヤマハ代理店さんが多い、日本でも。
ダイビングでいうならスキューバプロなら扱ってるけど、マレスは扱ってないので分からないなぁ~・・っという感じでしょうか。
そして、これらの故障?というとシリンダー内部からのオイル漏れが多い。これはユニカスだからではなく他のメーカーでも同様です。
ロッド(シャフト)自体に大きな傷が無い限りシリンダー側のオイルシールやOリングが原因。それらを交換するためにキットが販売されているのですが、この作業の様子が一件たりともヒットしない・・・日本では。交換用のシールキットの画像する見当たらないという・・・
ステアリングシリンダーと油圧操舵装置一式の交換や新艇での艤装は多いようですが、今回のような作業の様子はググっても皆無・・・
という訳で、少し前からオイル漏れをしていたシリンダー内部のパーツ交換を初公開にてご紹介したいと思います。
個人ボートオーナー様、これから取り扱おうと思っている各代理店・ディーラー様、是非参考にしてみてくださいね!
■パワステシリンダー(36VX), ■ヘルムポンプ(HM50), ■ステアリングホイール(S-N380) 使用
UNIKAS(ユニカス) 36VXの取り外し
船外機を扱ったことがある方ならお分かりのように、ステアリングのヘルムポンプとこのシリンダーまではオイル(作動油 / パワーステアリングフルード)で満たされています。
なので、むやみに油圧ケーブルを外してしまうとオイルがドバドバっと出てしまうので、まずは先っちょのフィッティングナット(エア抜き弁)を緩めます。ここの内部にはOリングがあり緩めることで排出できますが、ステアリング等を回したりしなければ勢いよく出ることはないのでまずは出る分だけ出し、ケーブル(油圧ホース)を外します。
このケーブル端のキャンパカ金具のナット部を外しすぐに上に向くように固定しておきます。下に向けたりそのまま低いところに置いておくとドンドンとオイルが出てきます。。が、全オイルを交換したいならすっからかんにしましょう!
次に、ロッド自体を固定している左右のロッキングナットと船外機側に固定されているナット片側を外します。
これで外れてくれればいいのですがそうもいかず、コンロッド(アーム横の大きなナット)を回していきずらしていくとシリンダーとアーム全体が外れます。
コンロッド側のアーム接続部内にはガッツリとフランジブッシュで固定されていていますが、シリンダー側のロッド接続アーム部はスカスカ状態なので、コンロッド側を外せばそのまま抜けてくれます。
もしも左舷側のコンロッド横のアーム内にフランジブッシュが入っていない場合には左舷側を取り外す方が楽な上にフランジブッシュを傷付けることがありません(コンロッドを回す度に傷付く)。今回は作業のし易さ等を優先し右舷側を取り外しています。
※コンロッドを回す前に止めネジの小さなチョボがあるので先に六角レンチで外します(画像↓左)。
これでシリンダー部分のみを取り出す事が出来ます。
UNIKAS(ユニカス) 36VXシリンダー内部パーツ交換
シリンダーボディの両端はシッカリとしたスナップリング(穴用C形止め輪)がはまっているので専用のプライヤーで取り外します。
次はロッドごとを引っこ抜けば良いのですが硬くて外れない場合: エンドスリーブ(両サイドの黒いパーツ)周囲のOリングがシリンダーボディ内でハマっているので、ロッドを一番端に移動させロッド端を傷つけないようにソフトハンマー等で圧を掛けるとロッドと片方のエンドスリーブを押し出すことができます。逆側のエンドスリーブが残ってしまうのでロッドの先で軽く押し出してやりましょう。
こちらがシリンダーボディからロッドを取り出した様子です。
画像↑右中心の黒いパーツがシリンダー内部を密封するための両端にはめ込む固定エンドスリーブ。
この部分には、「スクレーパ」、「パッキン」、「Oリング」の3パーツの交換が必要です。
スクレーパとパッキンと呼ばれる船外機のパーツでいうところのオイルシールみたいな部分をアップで見てみましょう。
内側に黒色の二本のラインが見えますね。手前(外側)がスクレーパ、奥側がパッキンです。
ロッドをぴったりと包み込めるように内側に位置しています。まさに船外機のシャフト周りのオイルシールの役割ですね。
これらを取り除き新品と交換します。
さて気になっていた箇所ですが、
外側のスクレーパを取り外してみると内側のある部分には腐蝕したかのような潮のカタマリが。ゴリゴリと削れるほど・・・これらのせいでオイルシールを変形させ隙間が出来てしまいオイルが漏れていたのでしょう。
ちなみに各パーツ共に亀裂等の破損は見当たりませんでしたが、Oリングを要する場所というのはこういった小さな箇所でも異変を伴いますね。
しっかりと掃除をし新品を装着します。
船外機使用後はこういった場所もしっかりと真水洗いをしないといけません。
次はロッド中心部分にある中子(黄色のパーツ)のOリングを交換します。
ここには外と内側の二ヶ所。
交換したらワッシャーとスナップリングで挟み込み完了です。
そしてこのシリンダーボディの内部に大きなOリングが一ヶ所あるのでそれもサクっと交換します。写真は撮っていませんが、すぐに分かります。シリンダーボディとインナーチューブ(シリンダーボディ内に筒状のものが別途あり)の間ですが、装着はシリンダーボディの内側です。
これらを元のように組み立て直します。
最後に両端のスナップリングをはめますが、シリンダー側の溝にカチッ!っと溝にハマるまで押し込まないと外れてしまうので注意が必要です(画像↑右)。
次は最後のOリング交換です。
フィッティングナット(エアー抜き弁:ドレインとしても機能しているプラグ)を外しブリーダーバルブを抜くとOリングが現れるので周囲をキレイにし左右二ヶ所共に新品と交換します。
これでシリンダー内外の消耗品パーツ 計11ヶ所 の交換が終了です。
UNIKAS(ユニカス) 36VXの組み立てとパワーステアリングフルード充填
取り外した時とは逆の流れで組み立てていきます。
全て元に戻し、パワーステアリングフルードをヘルムポンプから充填していきます。
ポイントは両方共にエア抜きをしながらオイルで満たすこと!
この作業がユニカスHM50のヘルムポンプのいいところ!
ストップ弁を使い反対側にエアが戻されるのをシャットアウトしてくれる機能があるので、とても楽ちん確実にエアを排出しながらオイルのみを満たしてくれるのです。
この作業は二人いる方が断然いいのですが、今回は一人でどうにか仕上げました。。
操船していてオイル漏れ等の症状を経験した方は、ステアリングを回転させているだけで異変に気付きますね。スカスカ感があるというか何というか、オイルを補充し忘れると真っ直ぐに航行するのすら難しい。その時の症状にもよりますが、漏れを発見したらすぐにこれらの交換をすべきでしょう。
さて、作業終了後に試運転をし、どこからも漏れがないか、船外機をチルトアップした際にシリンダーと干渉しない角度か、そもそも航行自体に支障はないかなどを確認します。
無事に完了です!
UNIKAS(ユニカス)36VXのシリンダー・シールキット
これらのオイルシール(スクレーパ、パッキン)とOリングセットのリペア用シールキットはネットで簡単に手に入るのでユニカスオーナーさんはご自分で簡単に交換することができますね。だいたい5,000円くらいです。高っけーなぁ~ Oリングなのに・・(笑)
またボートチャーターが定期的に続くのでずっとしたかった作業が一つ完了しスッキリしました。が、来週は潮の様子を見てギアオイルとエンジンオイル交換をしなくては・・・
追記:パーツ交換数日後の様子
数日後に本航行を行った様子です。
マジュロ環礁外洋、風南東8kts、速度15ノット前後、3,000~3,700回転にて片道1時間45分.
往復またその航行中にもステアリングの操作感やシリンダー付近各箇所を注意深く注視するも異常は見当たりませんでした。
帰港後もオイルの漏れや各ナット、ジョイント部の異常は見当たらずこれでひとまずホッとしています。
そもそもアルミシリンダーボディとステンのスナップリングという異種の金属、また外部からの塩害を受けやすい部分ですからまずは溝に耐水グリス、スナップリング装着後にはそれを覆う感じで塗布しておくと安心ですね。
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